乳酸菌
今日は朝電車に乗った。
座席が1つ空いていたのでそこに座ると隣のおじさんが何か言ってきた。
音楽を聴いていたので何を言っていたのか分からず、おじさんの顔を見たら眉間に皺を寄せながら顔をそらされた。
音量はそれほど大きくない。
いったい何を言いたかったのだろうか、謎である。
それから、もしかしたら自分が臭いんじゃないかという想像にかられ、居ても立っても居られなくなった。
おじさんは「臭いんだよ、風呂入れよ」とか言ってたとしたら周りの人もその言葉を聞いたはずだ。
そうすると周りの人は電車に乗ってる間、俺のことを「臭い人間」として観察したに違いない。心なしか周りの人が俺の顔を見ている気がする。
電車の中で臭い人間は迷惑レベルがかなり高い。
以前、よく電車で足が腐ってるおじさんがいた。何かしらの病気で足が壊死し、そこから強烈な腐臭を漂わせているおじさんだ。
おじさんも自らが臭害を巻き起こしている自覚があるようで、足にスーパーのビニール袋を被せて臭いバリアを自らかけていたのだ。
しかしスーパーの袋が足の腐臭を抑えられるわけもなく、常に強烈な臭気を漂わせていた。
ネットで調べると有名な人物らしく、壊死ニキと呼ばれていた。
ネットの噂によると壊死ニキは重度の糖尿で足が腐ってしまったようだ。
いつ死んでもおかしくない状況との事だったが、壊死ニキはそれからも電車に現れ続けた。
不思議な事なのだが、壊死ニキはホームレスのような格好をしていておそらく風呂に入っていないのにも関わらず、電車で目撃するのだ。
定期的に電車に乗るお金は持ち合わせているのだろうか。もしかしたら以前サラリーマンとして働いてた時代に貯めていた貯金があるのだろうか。
都内近郊の至る所で目撃されているのは電車で移動していたからなのだ。
ホームレスのような格好でホームレスのような生活をしながらも、電車で数十分の距離を歩くことは拒否してるのか。
電車に乗ることはプチ贅沢として生活の中のささやかな幸せなのだろうか。
それともやはり足が痛むので電車に乗るしか止む無いのだろうか。
そういえばここ最近、壊死ニキを見ていない。
まさか死んでしまったのだろうか。
それとも今でも元気に電車に乗って迷惑をかけているのだろうか。
謎は深まる。
今日は仕事が忙しく疲れた。
夜ご飯を作る元気がないので出来合いのもので済ませよう。