緑と青と赤
西日の差す頃に出かけた。
暖かくはないけど寒いわけでもない気温。
明日からは観測史上1番寒くなる可能性があるらしく、体調管理が難しいらしい。
吉祥寺のレコード屋に向かう。
駅に向かって歩いてる途中、有名な芸能人とすれ違った。阿佐ヶ谷は実は芸能人が割といる。
しかし阿佐ヶ谷の住民は芸能人を見かけても下手に声をかけたりしない。
芸能人サイドもそこが阿佐ヶ谷の居心地の良さなんだと思う。
お目当てのCDを手に入れ、実父宛に手紙を出すために便箋と封筒を近所の文具屋に買いに行く。
昔ながらの文具屋で店内は所狭しと文具が散りばめられている。道幅は狭く気をつけないと雪崩が起きそう。紙の匂いが充満してる。
店員なのかお客さんなのか分からない年配の男女数人が探し物をしている。
様子を見ていると年配の女性がレジ裏に置いてある老眼鏡を取りに行った。店員さんか。
倉庫のような店内の紙の山の中から便箋と封筒を見つける。
便箋にも封筒にも色んな種類がある。
和紙でできているもの、型押ししてあるもの、金箔を散りばめているもの。便箋の世界は奥が深い。
手紙の内容によってTPOがあるのだろうが、調べると沼にハマりそうだったので、1番シンプルなものを選ぶ。大切なのは気持ちなのだ。
便箋と封筒を手に入れ、先日満席で入れなかった喫茶店に行く。
かしこまった手紙を書くのは数年ぶりなので、恥ずかしい間違いを犯さぬよう、インターネットで基本を調べながら書く。
文章と形式に悪戦苦闘していると、隣にカップルが座る。
女性の方が今日阿佐ヶ谷に引っ越したようで、阿佐ヶ谷には釣り堀があるとか阿佐ヶ谷で友達を作るとかいった会話をしている。
カップルの方に目をやると、女性の方は若くおそらく20代、男性の方は30代そこそこぐらいだった。いったいどのような関係なんだろう、と考える。
はじめは兄弟のような感じがしたが、男の方が自分の家族について話してるから、どうやら違うようだ。
よくある事だけど、男女の会話を見ていると、男性は甘えている。女性はそんな男性の甘えを感じながらも否定せず話を聞いてあげている。
男性は子供で女性は大人なのだ。
そんな事を考えながら便箋に目を移す。
そのあとも苦労する。思ったこたとをそのまま文章にすると不細工な文になる。脳は同時多発的に色んな事を考えるので話が脱線する。
2時間かけ、ようやく形式的には間違いだらけな手紙が完成する。
1番大事なのは心なのだ。
そう言い聞かせ言葉を送り出す。自分を納得させる。
珈琲1杯で2時間も粘ってしまい申し訳無いのでおかわりの珈琲を頼んだ。とても大きな仕事をした感じがする。
連絡先を記載した。コンビニで切手を買い投函した。
家に着いたらレコード屋で買った柴田聡子とイ・ランのランナウェイを聴こう。